Toeachizown / Dam-Funk

最近は一念発起して曲を作ろうと試行錯誤している。今日ようやくドラムマシンとオーディオインターフェイスが届いたのでこれからは更にひきこもる予定。金使わなくていいけど人と全然会話をしない。

どんな曲を作りたいのかって思ったときにやはり最初に頭に浮かぶのはそう、Dam-Funk。特にデビューアルバムToeachizownは永遠の憧れ。マスターピース

Daft PunkのGet Luckyの大ヒット以降アメリカではすっかり80sブギーファンク路線が流行になっていてMark RonsonのUptown Funk、Justin TimberlakeのCan't Stop The Feeling、Bruno Marsの24K Magicなんかが顕著。その辺も全然嫌いじゃないし現場で聴くとまあみんな楽しい感じになるしいいよねと思う。ブギーファンク大好きだし。でも音の数と音の圧がすげーとも思う。ファストフード感。

しかしこのDam-FunkのToeachzownが出た2009年はDrakeやT.I、Lady Gagaなんかがブイブイだったように世間はもっとゴリゴリでチャラチャラなEDM路線だったわけで、ブギーファンクなんてものは80年代初頭にちょっと流行ってその後はNew Jack Swingに取って代わられた過去の産物、西海岸のヒッピホッピの人たちがレペゼン西海岸で今も俺たちは好きだよ(サンプリングに使うよ)ぐらいのものだったと思う。

当時俺はダンスをやっていたわけで、とくにPoppin'というジャンルに傾倒していて、その流れでブギーファンクを聴いてたわけだけど、前述のような状況であったので聴いていたのは過去のもの。現代にはちょこっとマイナーなトークボクサーがいてその人たちの絶対に正規の流通ではないだろみたいな怪しいCDをウエッサイの服屋で買ったりしていた。しかし彼らはトークボクサーなのでそちらに力が入りすぎてて曲調や展開が単調だった。

そんな中突如として現れたのがそう、Dam-Funk。それはそれはおったまげた。


キックとスネア、もうこの2つの音の完成度がおかしい。追い打ちのシンセ。キラー。そうそう!こういうのを待ってたんだよ!!!とテンションが上がりまくったのが乗っていた東急バスが渋谷駅に着いた時のこと、と今でも覚えているぐらいの衝撃だった。このときはまさかこいつが今後のブギーファンクの流行を生み出すきっかけになるとは思わなんだ。Stones Throwもさすが。

世間ではfeat.MC Eihtのバージョンが有名ですが、俺はこっちの方が好き。なぜならこの時点で完璧だから。これ以上何も足せないし引けない。永遠にループして聴いていられる。

このアルバムは最高。Dam-Funkもこの後2枚アルバムを出してるけどやはりこれが今のところ一番。長いこと「トーチゾン」と読むと思っていたら本人は「ティーチゾウン」と発音していた気がする。他にもLet's Take Off (Far Away)、Mirrors、Love Is Here 2nite、I Wanna Thank You for (Steppin Into My Life)、10 Westなどなど名曲揃い。のちにこのアルバムの曲でSnoop Doggがラップを乗せたりSlaveのボーカルだったSteve Arringtonが歌を乗せたりする。それぐらいのやばさ。イエス。

 

Kashif

メルボルン旅行中に80年代ブギー界の重鎮、Kashifが死んだ。Kashif名義でのアルバムは一枚持っているだけだったけど、自分の超好きな曲が実は彼のプロデュースだったということがそこで判明。まんまとやられていた。Evelyn Champagne KingのI'm In LoveやLove Come Down、Howard JohnsonのSo Fine、Bobby MardisのKeep Onなど。死んだことによって改めて調べてあれこれわかるというのは実に残念なことだ。逆に生きているうちから超好きだったら悲しみも大きくなるかもしれない。でもこれからどんどんKashifのことをディグしていってじわじわと喪失を感じることだろう。

Bobby MardisのKeep Onは本当に本当に好きで、ヤフオクのアラートに登録してあるから出てきたレコードは全部俺が買い取ろうと思っている。ほんでメルボルンに行くちょっと前に二枚目を入手したのでオリジナル先生にあげようと思って持って行った。訃報を聴いたあとに何気なくそのレコードを見たらKashif Musicとクレジットしてあってびっくりした。メルボルンクラブ界のブチ上げクレイジーディスコおじさんEddieに「俺の秘密兵器」といわしめるAnthonyに会えるという日、現場についてまっすぐ彼のプレイ中のブースに入って行くと、いきなりBobby MardisのKeep Onが流れた。俺はブチ上がった。彼も追悼の意を込めて流したのだろう。Kashifが起こした奇跡だった。最高の瞬間だった。ありがとうKashif、お疲れ様Kashif。

孤児院で生まれ育ち、数々の素晴らしい楽曲を残し(彼はWhitney Houstonのデビュー作も作った)、晩年は孤児のサポートや後継の育成にも励んでいた彼の曲を今夜はずっと聴いていたい。

 

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2016.10.6

メルボルンに行って日記を書いていない間にもアクセスしてくれている人がいて不思議ですね。

メルボルンで過ごした10日間はここではとても書ききれないけど、とにかく「音楽とレコードが好きでよかった」に尽きるかな、と。とにかく愛に溢れた素晴らしい人々と街だった。

そんな勢いのままラジオを作った、というかHawthorne Radioをもろパクりしたわけだけど、こうして何かしらアウトプットする、作り上げるっていうのがそろそろ必要な気がしてる、のでやった。

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針がM44-7なのでオーディオテクニカのATHシリーズみたいな低音強調型のイヤホンで聴くとめっちゃモコモコするんじゃないかってどうせ1人か2人ぐらいしか聴かないのに心配してる。さーて明日は何を作ろうかな。

2016.9.23

ブログのことをすっかり忘れていた。最近はインスタグラムにたくさん出てくるワンコたちに癒される日々だった。三日後から十日間のオーストラリアに今は心がときめいている。旅をしていたいんだよな〜基本的に。やっぱり、旅を、ね。結局そこで問題になってくるのはいつもそう、お金なんだけど、そこをズバッと解決してくれたブラザーにマジ感謝。DJとラジオの選曲をさせてくれる場も用意してくれているし車も用意してあるみたいだしマジすげーな、優しいな、と、単純にそう思います。「というか明日から12連休なのでテンションがあがってすね毛を全部剃ってしまいましたね。」と草野氏は懐かしそうな顔で語る。今はバナナムーンでりんご飴の歴史を聞いています。恥ずかしながら私はりんご飴童貞ですので、そちらの卒業の方を来年の目標にさせて頂こうと思います。最近の発見としましては、朝にりんごを丸かじりすると気分が良い、ということです。明日は昼間メルボルンに持っていくレコードを選んで、夜はBennyに会いに行こう。いい加減晴れてほしいね。

 

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FreekwencyはBenny Badgeの別名。ナイスブギーマン

にがくてあまい

兄が監督を務めた映画「にがくてあまい」の完成披露試写会に両親と行ってきた。

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映画の前に母親が長年行きたかったという新宿の洋食屋に行った。あまりおいしくなくて母が帰りに毒づいていたのが面白かった。悲しいけどそうゆう夢の叶い方ってあるよねと思った。

会場にはたくさんのお客さんが列を作って待っていてすごかった。指定席じゃなかったのかな。芸能人の影響力を感じた。

開場してお客さんがみんな入ってから関係者ということを伝えて中に入った。「翔吾が嫌がりますから…」という母の声を無視して、スタッフの方が半ば無理矢理僕たちを楽屋に案内してくれた。案の定、なにしてんのみたいな感じで兄は両親を返していたけど、僕だけ呼ばれた。楽屋を覗くとそこにはRIP SLYMEのSUさんがいた。他の出演者の方もいたけど、残念ながら俺にはSUさんしかわからなかった。でもみんなあたたかく迎えてくれて「似てるね」と言われた。今自分がこんなにも音楽とともに生きているのはRIP SLYMEがいたからです。という気持ちを押し殺し、図々しいのも兄の迷惑になるかもしれないとうことで「兄がお世話になっています」とだけ言って退散した。

芸能界の人たちと同じ楽屋で過ごしている兄貴すごいな。遠い存在だな、なんて考えていたら舞台挨拶が始まった。ほう、舞台挨拶ってこんな感じなんだね、と思った。SUさんが誰よりも飄々としていて良かった。

その後はにがくてあまい本編が上映されたのでそれを観た。笑いあり涙ありでまた笑いがある、あたたかくておもしろい映画だった。原作のことはよく知らないけれど、登場人物がみんな生き生きとしていて観ていて楽しかった。

兄の商業映画デビュー作ということで、このブログを読んでくれている方もお時間があればぜひ観に行って頂きたいなと思います。9月10日から上映です。全国のイオンシネマでご覧になれます。公開初日から3日間の観客動員数で上映期間が決まるそうなので、その3日間に観て頂けるとなお光栄です。

 

たくさんの人に支えられてステージに立つ兄と、うだつが上がらない自分の対比に頭をくらくらさせながら家に帰ってきた。

昔、兄に映画を撮ることの何が魅力なのかと聞いたことがあった。兄は「一人ではできないところ。たくさんの人と一緒に作り上げること」だと答えた。

一人で音楽を聴くことが何よりも楽しいと思ってしまう自分の暗さ、弱さを痛切に感じながら、僕は今もまた一人で音楽を聴いているのであった。

 

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